環境構築¶
この章で学ぶこと¶
- Python のインストール方法(macOS / Windows)
- Spyder(Anaconda)のインストールと使い方
- VS Code のインストールと Python 拡張機能の設定(代替エディタ)
- Python スクリプトの作成と実行
- 対話モード(REPL)の使い方
Python のインストール¶
macOS の場合(pyenv を推奨)¶
macOS には Python がプリインストールされている場合がありますが、バージョン管理のために pyenv を使うことを推奨します。
1. Homebrew のインストール¶
まだインストールしていない場合は、ターミナルで以下を実行します。
2. pyenv のインストール¶
# pyenv をインストール
brew install pyenv
# シェルの設定ファイルに pyenv の初期化を追加(zsh の場合)
echo 'export PYENV_ROOT="$HOME/.pyenv"' >> ~/.zshrc
echo 'command -v pyenv >/dev/null || export PATH="$PYENV_ROOT/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
echo 'eval "$(pyenv init -)"' >> ~/.zshrc
# 設定を反映
source ~/.zshrc
3. Python のインストール¶
# インストール可能なバージョンを確認
pyenv install --list | grep "^ 3\."
# Python 3.12 系の最新版をインストール(例)
pyenv install 3.12.8
# デフォルトのバージョンとして設定
pyenv global 3.12.8
# バージョンを確認
python --version
pyenv を使うメリット
pyenv を使うと、プロジェクトごとに異なる Python バージョンを簡単に切り替えられます。将来的に複数のプロジェクトを扱うようになったとき便利です。
Windows の場合(公式インストーラを推奨)¶
1. インストーラのダウンロード¶
python.org にアクセスし、最新の Python 3.x をダウンロードします。
2. インストール¶
PATH への追加を忘れずに
インストーラの最初の画面で 「Add python.exe to PATH」にチェック を入れてください。これを忘れると、コマンドプロンプトから python コマンドが使えません。
インストーラを実行し、「Install Now」をクリックします。
3. 動作確認¶
コマンドプロンプト(または PowerShell)を開いて、以下を実行します。
バージョン番号が表示されれば成功です。
Spyder のインストールと使い方¶
本講義では Spyder を主要な開発環境として使用します。大学の演習室にも Spyder がインストールされています。Spyder は科学技術計算向けに設計された Python 用の統合開発環境(IDE)で、MATLAB に似た操作感が特徴です。
Anaconda のインストール¶
Spyder は Anaconda に同梱されています。Anaconda をインストールすると、Python 本体、Spyder、および主要な科学計算ライブラリ(NumPy、pandas、Matplotlib など)がまとめて利用できるようになります。
Windows の場合¶
- https://www.anaconda.com/download にアクセスし、Windows 用のインストーラをダウンロードする
- ダウンロードしたインストーラを実行する
- 「Just Me」を選択してインストールする(管理者権限が不要)
- インストール先はデフォルトのままで問題ない
- 「Add Anaconda to my PATH environment variable」のチェックは外したままにする(推奨)
macOS の場合¶
- https://www.anaconda.com/download にアクセスし、macOS 用のインストーラをダウンロードする
- ダウンロードした
.pkgファイルを開き、画面の指示に従ってインストールする - インストール先はデフォルトのままで問題ない
Anaconda と pyenv の併用について
自分の PC で pyenv を使って Python を管理している場合でも、Anaconda を別途インストールして Spyder を利用できます。演習室の環境に合わせて Spyder を使うことを推奨します。
Spyder の起動方法¶
Spyder を起動するには、以下のいずれかの方法を使います。
方法 1: Anaconda Navigator から起動(推奨)¶
- Anaconda Navigator を起動する(Windows: スタートメニューから、macOS: アプリケーションフォルダから)
- Spyder の「Launch」ボタンをクリックする
方法 2: ターミナル / コマンドプロンプトから起動¶
Anaconda Prompt(Windows)またはターミナル(macOS)で以下を実行します。
Spyder の画面構成¶
Spyder の画面は大きく 3 つの領域に分かれています。
| 領域 | 位置 | 役割 |
|---|---|---|
| エディタ | 左側 | Python スクリプト(.py ファイル)を記述する領域。構文ハイライトやコード補完が利用できる |
| コンソール(IPython) | 右下 | スクリプトの実行結果が表示される領域。対話的にコードを入力して実行することもできる |
| 変数エクスプローラ | 右上 | 現在メモリ上にある変数の名前、型、値を一覧で確認できる。配列やデータフレームの中身をダブルクリックで表形式で閲覧できる |
変数エクスプローラは、プログラムの動作を理解するうえで非常に便利な機能です。変数にどのような値が入っているかを視覚的に確認できるため、デバッグや学習に役立ちます。
スクリプトの実行方法¶
Spyder ではスクリプトを複数の方法で実行できます。
| 操作 | ショートカットキー | 説明 |
|---|---|---|
| 全体を実行 | ++F5++ | エディタに表示されているスクリプト全体を実行する。初回実行時に実行設定のダイアログが表示されることがある |
| 選択部分を実行 | ++F9++ | エディタで選択した行だけを実行する。コードを少しずつ確認しながら進めたいときに便利 |
また、エディタ上部のツールバーにある緑色の再生ボタンでもスクリプト全体を実行できます。
よくあるトラブルと対処¶
Spyder が起動しない場合
Anaconda Navigator から Spyder を起動できない場合は、以下を試してください。
- Anaconda Navigator を管理者権限で実行する(Windows の場合)
-
Anaconda Prompt(Windows)またはターミナル(macOS)を開き、以下のコマンドで Spyder を更新する
-
それでも解決しない場合は、新しい仮想環境を作成して Spyder をインストールする
日本語の文字化けが起きる場合
スクリプトファイルの先頭に以下のエンコーディング宣言を追加してください。
また、Spyder のメニューから「ツール」→「設定」→「エディタ」→「詳細設定」で、デフォルトのエンコーディングが UTF-8 になっていることを確認してください。
作業ディレクトリの設定
Spyder 右上のフォルダアイコンから作業ディレクトリを変更できます。スクリプトファイルの保存先と作業ディレクトリを一致させておくと、ファイルの読み書き時にパスの指定で困ることが少なくなります。メニューの「ツール」→「設定」→「現在の作業ディレクトリ」から、起動時の作業ディレクトリを固定することもできます。
VS Code のインストールと設定(代替エディタ)¶
Visual Studio Code(VS Code) は汎用的なコードエディタです。本講義では主に Spyder を使用しますが、VS Code も広く使われているエディタですので、ここではインストール方法を紹介します。
1. VS Code のインストール¶
https://code.visualstudio.com/ からダウンロードしてインストールします。
2. Python 拡張機能のインストール¶
VS Code を起動し、以下の手順で Python 拡張機能をインストールします。
- 左側のサイドバーで拡張機能アイコン(四角が4つ並んだマーク)をクリック
- 検索欄に「Python」と入力
- Microsoft が提供する「Python」拡張機能をインストール
Python 拡張機能の主な機能
- コードの構文ハイライト(色分け)
- コード補完(入力候補の表示)
- エラーの検出とハイライト
- コードの実行ボタン
3. Python インタプリタの選択¶
VS Code 画面下部のステータスバーに Python のバージョンが表示されます。クリックすると、使用する Python インタプリタを選択できます。先ほどインストールした Python を選んでください。
最初のプログラムを実行する¶
スクリプトファイルの作成¶
Spyder の場合¶
- Spyder を起動する
- エディタ(左側の領域)に以下のコードを入力する
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」で
hello.pyという名前で保存する
++F5++ を押して実行すると、右下のコンソールに結果が表示されます。
VS Code の場合¶
- VS Code でフォルダを開く(「ファイル」 → 「フォルダーを開く」)
- 新しいファイルを作成し、
hello.pyという名前で保存する - 以下のコードを入力する
エディタ右上の再生ボタン(三角マーク)をクリックします。画面下部のターミナルに結果が表示されます。
ターミナルから実行¶
ターミナル(macOS)またはコマンドプロンプト(Windows)で、ファイルがあるディレクトリに移動してから実行します。
実行結果:
対話モード(REPL)の使い方¶
REPL(Read-Eval-Print Loop)は、Python のコードを 1 行ずつ入力して即座に結果を確認できるモードです。ちょっとした計算や動作確認に便利です。
起動方法¶
ターミナルで以下を実行します。
>>> というプロンプトが表示されたら、REPL が起動しています。
Spyder の場合は、右下のコンソール(IPython コンソール)が対話モードとして使えます。In [1]: というプロンプトが表示されており、ここに直接コードを入力して実行できます。
使用例¶
>>> 1 + 2
3
>>> "Hello" + " " + "World"
'Hello World'
>>> len("Python")
6
>>> type(42)
<class 'int'>
終了方法¶
または Ctrl + D(macOS)/ Ctrl + Z → Enter(Windows)で終了できます。
REPL の活用場面
- 簡単な計算をしたいとき
- 関数やメソッドの動作を確認したいとき
- エラーの原因を調べたいとき
本格的なプログラムはスクリプトファイル(.py ファイル)に書きますが、学習中は REPL も積極的に活用してください。
まとめ¶
- Python のインストールは、macOS では pyenv、Windows では 公式インストーラ が推奨
- 本講義では Spyder(Anaconda に同梱)を主要な開発環境として使用する(演習室にもインストール済み)
- VS Code は代替エディタとして利用できる
- Python プログラムは
.pyファイルに記述し、Spyder やターミナルから実行する - REPL(対話モード)は、コードの動作を素早く確認するのに便利